
SNSでフォロワーを増やすためには、有益な情報を発信することが大切だと言われてきました。
専門知識を分かりやすく発信し、役立つノウハウを届けること。それがフォローされる理由であり、SNS運用の成功につながると考えられてきた時代です。
しかし現在、その前提そのものが変わり始めています。
AIの進化によって、誰でも一定品質の文章や画像を作成できるようになり、有益な情報だけで差別化することが難しくなりました。つまり、「役立つ情報を発信できること」自体の価値は、以前ほど絶対的ではなくなっているのです。
では、人はこれから何を基準にアカウントをフォローするのでしょうか。
今回の記事では、AI時代に人が特定のアカウントを選び続ける理由をはじめ、AIには再現できない「人間らしさ」とは何か、そして企業や個人がSNSで信頼を築くために本当に大切な考え方について、バズソルの視点で深く掘り下げていきます。
なぜAI時代に人は特定のアカウントをフォローするのか
フォロワー数や投稿内容だけでは、SNSで選ばれる理由を説明できない時代になりました。その背景には、人がSNSに求める価値そのものが変化しているという、大きな時代の流れがあります。
情報収集から変化するSNSの役割
これまでSNSは、新しい情報を手に入れるための場所でした。業界の最新ニュースや役立つノウハウ、おすすめの商品情報を得るために「情報収集」目的で開いていた人も多いのではないでしょうか。
しかしAIが進化し、そうした使い方は徐々に薄れつつあります。
知識やノウハウなら、AIに聞けば一瞬で答えが返ってくる時代になったからです。わざわざ「情報を調べるためだけ」にSNSを開く理由は、もうそれほど強くありません。
そこで今、人々が本当に見ているのは情報ではなく「人」です。どんな価値観を持っているのか、どんな経験をしてきたのか、自分と考え方が近いか。こうした部分に共感してはじめて、「これからも投稿を見たい」とフォローボタンを押すようになります。
AI時代のSNSは、情報を集める場から「人柄や価値観に触れ、信頼を育てていく場所」へと変化を遂げています。
正論や一般論ではなく書き手の体温が伝わる言葉が求められる理由
今や、正しい情報を発信すること自体にはそれほど価値がありません。AIを使えば、一般的な知識やノウハウは誰でもすぐに作れてしまうからです。そのせいか、今のSNSは「正しいけれど、誰の印象にも残らない投稿」で溢れかえっています。
そんな中で人の心を動かすのは、綺麗にまとめられた正論ではなく「その発言に至った背景」です。
どんな経験をして、どんな失敗や葛藤を経てその考えにたどり着いたのか。
同じノウハウでも、そうした背景が見える言葉には、AIには絶対に真似できない説得力が生まれます。
そもそも人は、「正しい人」よりも「本音で話してくれる人」を信じたいものですよね。たとえ口下手でも、自分の言葉で飾らずに語られた投稿には、自然と人間味がにじみ出ます。
今、発信で一番大切なのは「上手な文章」を書くことではありません。言葉に乗った体温や価値観こそが、ファンを増やし、長く選ばれ続ける理由になります。
フォローという行為が意味するつながりと帰属意識
フォローとは、単に投稿を見逃さないためだけの機能ではありません。その人の考え方や価値観に共感し、「これからもこの人の発信を見続けたい」という意思の現れでもあります。
同じマーケティングについて発信しているアカウントでも、フォローする人としない人がいるのはなぜでしょうか。それは情報の質だけで判断しているのではなく、「この人の考え方が好き」「この会社の価値観に共感できる」と感じているからです。
人は、知識だけを追いかけるのではなく、自分と価値観が近い人や、応援したいと思える人とのつながりを求めています。
フォロワー数は単なる数字ではありません。その一人ひとりは、「この人の視点でこれからの世の中をみてみたい」と感じた人たちの積み重ねなのです。
AIが誰でも情報を発信できる時代だからこそ、人がフォローする理由は情報ではなく「人」へと移り変わっています。SNSとは情報を受け取る場所ではなく、価値観を共有し、信頼を積み重ねるコミュニティへと変化しています。
AI時代に選ばれるアカウントが持つ「人間らしさ」の正体
「人間らしさ」が重要だと言われても、具体的に何を指すのかは意外と曖昧ですよね。単に顔を出したり、日常を投稿したりすることが、人間らしさにつながるわけではありません。
ここからは、AI時代において本当に価値を持つ「人間らしさ」の正体について紐解いていきましょう。
「人間らしさ」が重要だと言われても、具体的に何を指すのかは意外と曖昧ですよね。単に顔を出したり、日常を投稿したりすることが、人間らしさにつながるわけではありません。
ここからは、AI時代において本当に価値を持つ「人間らしさ」の正体について紐解いていきましょう。
AIでは再現できない「経験」が最大の差別化になる
AIは、膨大な情報を学習し、それらを組み合わせて自然な文章を作ることはできます。しかし、「経験」を持つことはできません。
AI時代において価値を持つのは、知識の量ではなく、その人が実際に歩んできた過程そのものだと考えます。
例えば、飲食店を経営している人が「売上が落ちたときに、メニューを減らしたことで客単価が上がった」と発信したとします。
結果だけなら誰でも語れます。しかし、「なぜその決断をしたのか」「お客様からどんな反応があったのか」「失敗を経て何を学んだのか」といった背景は、実際に現場で経験した人にしか語れません。
人が知りたいのは、成功したという事実だけではありません。「この人も自分と同じように悩み、試行錯誤してきたのだ」という過程に触れたとき、人は初めてその言葉を自分ごととして受け止めます。
つまり、AI時代に差別化されるのは、誰よりも多くの知識を持つことではなく、自分にしか語れない経験を持ち、その経験を自分の言葉で伝えられることこそが、最も強い「人間らしさ」になるのです。
独自の視点とフィルターを通したオリジナルの意見
新しいニュースや業界のトレンドが話題になったとき、人は本当に「その出来事」だけを知りたいのでしょうか。
もし情報だけが目的なら、AIがまとめた要約やニュース記事だけで十分なはずです。それでも特定のアカウントを見に行くのは、「この人なら、この出来事をどう考えるのだろう」と、その人ならではの視点を求めているからではないでしょうか。
例えば、新しいiPhoneが発表されると、多くのメディアがスペックや新機能を紹介します。それでも、人によって「まずここが知りたい」と思う箇所は違います。写真好きの人ならカメラを深く検証する人を、仕事で使う人なら生産性の視点で語る人を選びますよね。
それと同じでひとつの映画を観ても、「感動した」という人もいれば、「考えさせられた」という人もいます。同じ出来事を体験しているにもかかわらず、受け取り方が違うのは、それぞれが歩んできた人生や価値観というフィルターを通して物事を見ているからです。
人が求めているのは製品情報や内容ではなく、「この人ならどう評価するのか」という、その人ならではの視点なのです。
同じ出来事を見ても、楽観的に捉える人もいれば、慎重に分析する人もいます。その違いを生み出しているのは、これまで積み重ねてきた経験や価値観というフィルターです。
だからAI時代に選ばれるのは、誰よりも早く情報を届ける人ではありません。同じ情報に、自分だけの解釈や視点を加えられる人です。
そのオリジナルの意見こそが、「この人の発信だから読みたい」と思われる理由になっていきます。
完璧な情報より、共感できるストーリーが選ばれる
人は、完璧な人に憧れることはあっても、心を動かされるのは結局、自分と似た経験をした人です。
例えば、起業してすぐに成功した経営者の話よりも、「資金繰りに悩み、何度も失敗しながら今の会社を築いた」という話に引き込まれた経験はないでしょうか。それは成功という結果ではなく、その過程に自分を重ね合わせているからだと思います。
SNSでも同じことが起きています。順風満帆な実績だけを並べた発信は、「すごい」と思われることはあっても、「また見たい」という気持ちにはつながりにくいものです。
一方で、失敗した経験や迷った過程、そこから得た学びまで率直に伝える発信には、「自分も頑張ってみよう」という共感が生まれます。
人は情報だけで人を信頼するのではありません。その人がどんな壁にぶつかり、何を考え、どう乗り越えてきたのかというストーリーに触れたとき、「この人を応援したい」「これからも発信を見続けたい」という気持ちになります。
AI時代だからこそ、完成された情報だけでは埋められない価値があります。
その人らしいストーリーこそが、人の心を動かし、長く選ばれ続ける理由になっていくでしょう。
バズソルが考える企業と個人で異なる「人間らしさ」の見せ方
人間らしさが重要だと言っても、企業と個人では伝えるべき内容は同じではありません。ユーザーが企業に求める安心感と、個人に求める共感は、本質的に異なるからです。それぞれが「何を見せるべきか」を理解することが、AI時代のSNS運用では重要になるでしょう。
ここからは、企業と個人、それぞれの「人間らしさ」の見せ方について解説します。
企業は「組織の思い」を伝え、信頼を生み出す
個人の経験は一人分ですが、企業の経験は社会全体の歴史です。
場合によっては人一人分じゃ足りない何年にもわたって積み重ねてきた挑戦や失敗。関わったお客様との関係や数、何人もの社員の思いは、簡単には真似できません。
企業がSNSで発信すべきなのは、単なる商品やサービスの情報ではなく、その歴史の中で育まれた「価値観」です。
実は、企業アカウントをフォローするユーザーは、スペックや価格情報だけを求めているわけではありません。「その会社がどんな姿勢で事業に向き合っているのか」という姿勢を見ています。
たとえば、創業30年の企業が「お客様第一です」とつぶやくだけでは、誰の心にも響きません。 しかし、「創業当時の大失敗があったからこそ、今のサービス基準がある」「代々このこだわりだけは譲らない」といった具体的な背景が見えたとき、ユーザーは初めてその会社に信頼やリスペクトを抱きます。
AIを使えば、商品の説明文やスペック紹介は誰でも一瞬で作れるようになりました。だからこそ今、企業に求められているのは「何を売るか」ではなく**「なぜその事業をやっているのか」という思想を語ること**です。
その思いこそが他社には真似できない唯一無二の強みとなり、長く愛される企業アカウントの土台になります。
個人は「経験」と「独自の価値観」を発信し、共感を集める
一方、個人に求められる「人間らしさ」は、企業とは少し異なります。個人が発信すべきなのは、組織としての歴史ではなく、自分自身が積み重ねてきた経験や価値観です。
企業とは違って、個人では個人なりの大変さや葛藤がありますよね。
たとえば、一人でできることには限りがあります。すべてを一人で判断し、挑戦し、ときには失敗を受け止めながら前へ進まなければなりません。その葛藤や迷いは、一人だからこそ積み重ねられる経験です。
人は、その人が成功した理由だけではなく、悩みながら歩んできた過程にも共感し、「この人を応援したい」と感じるのです。
同じテーマについて発信していても、人によって考え方が違うのは、それぞれ歩んできた人生が違うからです。どんな仕事をしてきたのか、どんな失敗を経験し、何を大切にするようになったのか。その一つひとつが、その人だけの視点をつくり上げています。
人は「何を知っている人か」だけでなく、「どんな人なのか」を知りたいと考えるようになります。
知識だけを並べた発信よりも、自分の経験をもとに語られた言葉のほうが、「この人の考え方が好きだ」「これからも発信を見たい」という共感につながるのです。
失敗談や葛藤を隠さずに発信してファンを増やそう
ここまでは、企業と個人で異なる「人間らしさ」の見せ方についてお伝えしてきました。しかし、両者に共通して言えることもあります。
それは、成功した結果だけではなく、その過程にある失敗や葛藤を誠実に伝えることが、人の共感や信頼につながるということです。
もちろん、すべてをさらけ出せば良いというわけではありません。大切なのは、成功した結果だけではなく、その結果にたどり着くまでの過程を誠実に伝えることです。
順風満帆なストーリーよりも、壁にぶつかりながら前へ進む姿のほうが、人は自分を重ね合わせやすくなります。
だからこそ、企業も個人も、自分たちが歩んできた道のりを隠さず伝えることが、共感を生み、長く応援してくれるファンを増やすことにつながるだろうと考えています。
まとめ
これまでSNSでは、「どんな情報を発信するか」が重要だと考えられてきました。しかし、AIが誰でも一定品質のコンテンツを生み出せる時代になった今、その価値観は大きく変わり始めています。
これから人がフォローするのは、有益な情報だけを発信するアカウントではありません。その人だから語れる経験や価値観、物事の捉え方、そして成功だけでなく葛藤まで含めた人間らしさに触れたとき、人は「この人の発信をこれからも見続けたい」と感じるのです。
AI時代だからこそ、SNSで競うべきなのは情報量や投稿頻度ではありません。自分たちにしか語れないストーリーを積み重ね、信頼を育てていくことです。その積み重ねこそが、フォロワーではなく「ファン」を増やし、これからのSNSで長く選ばれ続ける理由になると考えています。